大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)3690 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人Aの負担とする。

理 由

被告人A、同弁護人安原正之、被告人B(上申書と題する書面共)、同弁護人山

根弘毅の上告趣意は、それぞれ後に添えた書面記載のとおりである。(被告人Aの

上告趣意書は、期間後の提出にかかるが、刑訴規則二三八条二六六条により、これ

を受理する)

被告人Aの上告趣意について。

所論は、すべて原判決の訴訟法違反又は原審の自由裁量に属する証拠の取捨を非

難し、事実誤認を主張するに帰するのであつて、刑訴四〇五条の適法な上告理由と

いえない。すなわち、一の原審において弁護人の出廷なくして審理が行われたとい

う主張は、原審公判調書の記載(記録二八六丁裏)に依ればその出廷したことが明

かであるから理由がなく、二の被告人の控訴趣意書を採用しなかつたために、原判

決の事実認定は不合理であるという主張は、三の右控訴趣意書を採用しなかつたこ

とを違法であると主張することと共に、記録上被告人がその控訴趣意書を原審にお

いて、自ら撤回する旨を述べたことが明らかであるから、事実に基かない主張であ

り、四において詳細に述べているところは、要するに、犯罪の実行そのものを否定

するのでなく、単に動機が異なることを主張するのに過ぎない。また五、六、七に

述べるところは、いずれも、犯行の動機経過等につき独自の見解を主張し弁明する

のであつて、すべて適法な上告理由とならない。

同弁護人安原正之の上告趣意について。

所論は、被告人が第一審において主張した、犯行当時の飲酒による酩酊状態と、

以前より精神状態が正常でなかつたということとを合せて、第一審は刑訴三三五条

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二項の判断をすべきであつたのに、これをせず、また原審でも、被告人がこれを控

訴趣意書で述べているのに採用せず、判断をしなかつたのは、最高裁判所の判例に

違反するというのである。しかし、記録を調査すると、なるほど所論のような趣旨

の被告人の供述があり、また原審弁護人の趣旨書にも、その趣旨の一部が認められ

るが(被告人の控訴趣意書は前述のとおり撤回)、いずれも刑訴三三五条二項の主

張はなく、単に量刑の情状として述べられているのであるから、原判決がこれにつ

いて所論のような判断を与えなかつたのは当然であり、論旨は理由がない。

被告人Bの上告趣意について、(上申書と題する書面共)。

所論は、要するに、被告人犯行当時の酩酊状態又は共同被告人Aの脅迫或は家庭

の状況等を挙げ、犯行の動機又は情状を述べ、量刑の不当を主張するのであつて、

適法な上告理由とならない。

同弁護人山根弘毅の上告趣意について。

所論は、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の適法な上告理由とはいえない。

その他記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由を認めることはできない。

よつて刑訴四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見により主文のとおり

判決する。

昭和二七年二月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

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